図書館展示企画2014年度 第4回
タイトル: 社会性を学ぶ特別支援教育の教材-人とのかかわりをつなぐために-
期 間: 2015年1月~3月
担 当: 幼児保育学科 専任講師 遠藤 愛
今回は、発達障がいをもつ子どもが「社会性を学ぶ」ための教材をご紹介いたします。人とかかわり集団で生活するために必要な力を「ソーシャルスキル」といいます。
ソーシャルスキルには、あいさつなどの基本的なやりとりから、場の状況を読み取る力、ルールを理解し守る力など、たくさんの種類があります。
展示した絵カード教材は、療育現場でよく用いられるもので、「その行動をとれば結果どうなってしまうのか」ということを子どもに教える教材です。「みんなで見ている紙芝居の前に立つとどうなる?」などのように、絵カードを出しながら子どもにクイズを出し答えを一緒に確認してルールを学びます。その他、今出してもよい声の大きさを教える「声のものさし」、自分の気持ちを確認する「表情シート」なども、特別支援教育の現場では日常的に使われます。
また展示書籍には、ソーシャルスキルを体感的に学ぶためのゲームのアイデアがたくさん掲載されています。なかには、伝言ゲームなど、幼稚園や保育園でもおなじみのゲームも取り上げられていますが、ゲームの中で「どんなソーシャルスキルを養うのか」という目標が、保育者にも子どもにも意識できるように設定されているのが特徴です。年齢に応じた設定保育(明確な目標を持って指導する保育)を考えるときにも大変参考になる資料です。
教材やゲームで取り扱う力は、あくまで基本的なことであり、ここで学んだことが全ての場合において「正解」ではありません。答えがその場の状況や人によって異なるから、人とのかかわりは難しいのです。
ソーシャルスキルを高める土台になるものは、「人が好きだ」というその子の気持ちです。
私たち大人は、かかわりの技を教えること以上に、全ての子どもが「みんなの和の中にいたい」と思えるような暖かい環境を作ることを考えるべきなのかもしれません。