« 2年生★「幼稚園教育実習」授業紹介 | メイン | 6月・7月のオープンキャンパス詳細情報を更新しました! »

2021年5月28日 (金)

【学長からのメッセージ2021.5】10歳の大人:リトル・トリー

Dsc_0210_1_6 星美学園短期大学 学長 阿部健一


 私の好きな本の1つに、「リトル・トリー」(フォレスト・カーター著 めるくまーる)があります。

 リトル・トリーは、インディアン(チェロキー族)の子どもで、父、母を続けて失い、5歳の時から祖父母と暮らすことになりました。

 ある日、リトル・トリーは、祖父と街へ出かけます。その帰り道、リトル・トリーは、元気のない子牛に心惹かれますが、そこを言葉巧みにつけ込まれ、50セントでその子牛を買うことになります。子牛が自分のものになって、リトル・トリーの心は躍り、自慢げに祖父に見せましたが、祖父は、うれしそうな顔はしませんでした。

 その子牛は、家にたどり着く前に、道に横たわり、死んでしまいました。病気だったのです。祖父は、子牛の皮を剥ぎ、リトル・トリーは、それを背負いながら、打ちひしがれて、とぼとぼと家路を辿っていきました。

 夕食の時、祖父は、リトル・トリーを見つめて言います。

 「なあ、リトル・トリー。おまえの好きなようにやらせてみせる、それしかおまえに教える方法はねえ。もしも子牛を買うのをわしがやめさせてたら、おまえはいつまでもそのことをくやしがったはずじゃ。逆に、買えとすすめてたら、子牛が死んだのをわしのせいにしたじゃろう。おまえは自分でさとっていくしかないんじゃよ。」

 リトル・トリーは、祖父から生きる知恵を学び、祖母から読み書き算数を学びました。リトル・トリーが10歳の時、祖父と祖母が死にました。しかし、その時、すでに、リトル・トリーは、一人で生きていく力を身につけていたのです。

 私たちも、心配に耐えながら子どもの判断を見守る、そういう強さを持つ必要があるのではないでしょうか。


【関連記事】
学長が語る 障がい児保育
第1回~第8回(最終回)


https://www.seibi.ac.jp/college/

星美学園短期大学

学長からのメッセージ