【図書館】展示企画2023年度第3回
タイトル: 子どもと遊び ー独楽(コマ)ー
期間:2023年12月~2024年3月
担当:星美学園短期大学教授 中島千恵子
独楽(コマ)は、子どもから大人まで誰もが楽しめる遊びのひとつです。標準的な独楽は、回転の効果を利用して一点で立ち上がり、回転が遅くなると倒れてしまいます。皆さんは、独楽はなぜ回るのか、なぜ倒れないのか、疑問に思ったことはありませんか。今回は、そのような素朴な疑問に対して解説した書籍を紹介いたします。
まず、戸田盛和氏の『コマの科学』です。この本では、独楽の構造や運動について、できる限り難解な用語や数式を使わずに丁寧に解説しています。独楽を回すと、独楽の軸の上端が円を描くような「みそすり運動(歳差運動)」が働きますが、著者は「どうしてみそすり運動が独楽を立てさせるのか」という問いを考えることから、「独楽はなぜ倒れないのか」という疑問を説明することを試みています。
次に、山崎詩郎氏の『独楽の科学』です。この本では、独楽を上手く回すポイントや、独楽が倒れない理由について、物理学の視点から分かりやすく解説しています。また、独楽に限らず「回るおもちゃ」についてもたくさん紹介しています。大学初年度に学ぶであろう、物理学の基礎的な知識(角運動量保存の法則など)が少しだけ必要になりますが、おもちゃに関心がある保育者養成課程の学生達にも、楽しんでもらえるのではないかと思います。
今回は、「逆立ち独楽(逆さ独楽)」を展示いたしました。逆立ち独楽は、球面を直径の4分の1くらいで切って、そこに軸を付けた形をしています。回転していない時は、丸い部分を下にして立っていますが、回すと数秒で本体が持ち上がって上下が逆さになり、軸の上で回転する楽しい独楽です。小さい独楽には、物理学の仕組みがぎゅっと詰まっています。子ども達(昔は子どもだった、今の学生達にも!)には、独楽遊びを通して、物理学の面白さに少しでも気づいてもらえたら嬉しく思います。
参考資料
・『コマの科学』/戸田盛和/岩波書店/1980
・『独楽の科学』/山崎誌郞/講談社/2018