図書館展示企画2015年度 第2回
タイトル:「 秋田の木地山こけし-小椋久太郎の世界- 」
期 間 : 2015年8月~11月末
担 当 : 星美学園短期大学 学長 阿部健一
みちのくの娘風俗を表現する、郷土色豊かな小椋久太郎のこけしを展示いたします。
1.小椋家について
小椋家はもともと近江国の小椋庄に住む木地師(ろくろでお椀や木鉢などを作る職人)で、その後、公文所(公文書管理の役所)から「日本中どこにでも行って山の木を切ってよい」という書付、そして商売の自由と諸役免除を保証する書付を得て、良い木を求めながら、最終的に秋田県雄勝郡皆瀬村に居を定めました。
2.久太郎のこけし製作について
久太郎は、26歳ごろから仕事の傍ら、父とともにこけしを作るようになったようです。当時はいたってローカルで、地元の人の注文や地元の湯治客のお土産用に片手間仕事で作っていたようです。
「まんず めんこいおど なや」と言いながら、土地の人たちは、久太郎のこけしを喜んで買っていったのでしょう。増え続ける注文に製作が追いつかなくなり、1935年ごろから、こけし制作に専念するようになったようです。
3.展示作品について
展示のこけしは、すべて、秋田の親類縁者からいただいたものです。その中に、大ぶりで胴模様が華やかなものが2点あります。1点は、私が新婚旅行で秋田に行った折りに、従兄が私ども夫婦を小椋久太郎さんの家へ連れて行き、その場で結婚祝いとしてプレゼントしてくれたものです。こけしの背中に、久太郎さんの筆で、そのときの日付と私ども夫婦の名前が書かれています。もう一点は、従妹の結婚式の引き出物です。こちらも背中に、日付と夫婦の名前が書かれています。(ただし、展示では、2つとも寝かせてあるので、背中の文字は、見えません。)
実は、私は、胴模様が華やかではないものの方が好きです。お越しいただき、久太郎こけしをお楽しみいだければ幸甚です。
参考文献
『皆瀬村史』 皆瀬村 平成5年3月31日
『こけし時代 第六号』 こけし時代社 平成24年12月31日発行
星美学園短期大学図書館
03-0906-0056(代表)