« メッセージ動画★星美学園 サレジアン・シスターズより | メイン | 緊急企画!学生スタッフ「SSS(トレエッセ)通信③」 »

2020年4月27日 (月)

【図書館】展示企画2020年度 第1回

タイトル : 子どもと遊び:紙飛行機

期間 : 2020年4~7月

担当 : 星美学園短期大学教授 中島千恵子

 紙飛行機は、手近な広告用紙一枚で始めることができる、誰もが楽しめる遊びのひとつです。そこで今回は、紙飛行機を飛ばすコツを習得するために役立つ書籍を紹介いたします。 

紙飛行機は、なぜ空中に浮かんでいられるのでしょうか。John M. Collins氏の『世界チャンピオンの紙飛行機ブック』によれば、紙飛行機の飛行に関する基本的な力は、揚力(紙飛行機を空中に支えるための上に引っ張る力)、重力(地球の引力によって生じる重さ)、抗力(形状や素材によって生じる前進を阻む力)、推力(紙飛行機の場合、最初に投げる時の力)の4つの力であると言われます。揚力と重力が等しく、抗力が推力よりも小さい時に、紙飛行機は水平飛行が続けられるというわけですね。 

それでは、揚力の大きさは、何で決まるのでしょうか。小林昭夫氏の『紙ヒコーキで知る飛行の原理:身近に学ぶ航空力学』によると、揚力は、風の速さや翼面積、さらに紙飛行機が飛んでいるところの空気密度に関係すると言われます。揚力L(kg)、空気密度 (kgs2/m4)、飛行速度V(m/s)、翼面積S(m2)、揚力係数 とすると、次のような関係が成立します。 

揚力は速度の二乗に比例し、翼面積に比例していることから、紙飛行機をよく飛ばすためには、翼の面積(形)や角度、投げ方や速度を調整する必要があることが分かります。さらに、紙飛行機の製作技術を専門的に学びたい方には、二宮康明氏の『日本で生まれ育った高性能紙飛行機:その設計・製作・飛行技術のすべて』も参考になります。この本では、実際の航空機の理論に基づいて設計が行われ、製作から飛行までの手法が詳細に解説されています。 

今回は、『世界チャンピオンの紙飛行機ブック』の中から「VERY EASY」(とても簡単に折れて高性能な紙飛行機)を選び、試作したものを展示いたしました。子ども達には、これらの遊びを通して、物理学や自然科学に興味を持ってもらえたら嬉しく思います。

Dsc_0008

Dsc_0010 

引用・参考文献

・John M. Collins 著,久保田晃弘 監訳,金井哲夫 訳『世界チャンピオンの紙飛行機ブック』,(株)オライリー・ジャパン,2019

・小林昭夫,『紙ヒコーキで知る飛行の原理:身近に学ぶ航空力学』,ブルーバックス,(株)講談社,2019

・二宮康明,『日本で生まれ育った高性能紙飛行機:その設計・製作・飛行技術のすべて』,(株)誠文堂新光社,2013