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2022年5月24日 (火)

【学長からのメッセージ2022.5】「まあ、いいか」について(モノの編)

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星美学園短期大学

 学長 阿部健一


 自分が大切にしていたモノが、自分のミスで、壊れたり、傷付いたりしたとき、みなさんは、どんな気持ちになりますか。あるいは、自分が大切にしていたモノが、他人のミスで、壊れたり、傷付いたりしたとき、みなさんは、どんな気持ちになりますか。

「しかたない。まあ、いいか」と即座に諦めることができますか。それとも、「なんでだ?なんでなんだ?」と、しばらくは、自分を責めたり、他人を責めたりしながら、悶々としたときを過ごしますか。でも、だからといって、さすがに、一生涯、悶々とし続ける人は、いないと思います。人間、いつかは、諦める時が来ます。そうであれば、早く諦めるのが、得策ではないでしょうか。

私の母の口癖は、「形あるものは、壊れる」です(まだ存命なので現在形です)。それは、母の母の口癖だったそうです。私もその流れを受け継いでいるようで、モノが壊れたり壊されたりしたときには、その言葉が自然に口をついて出てきます。

「形あるものは、壊れる」、この言葉は、モノが壊れたという現象は誰のせいでもなく、モノであることの「定め」が今ここに顕れたに過ぎないということを意味しています。

自分が大切にしていたモノが壊れて、苦しむのは、自分の欲からモノを見ているからで、そこから離脱して、「モノの定め」という本質に心を向けるなら、壊れたことは、寂しく、悲しくはあるけれど、なんら特別なことではなく、自然なこと、当たり前のこととして受け入れられるのではないでしょうか。


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