【学長からのメッセージ2022.10】「まあ、いいか」について(懐深し編)
星美学園短期大学
学長 阿部健一
未成年の若者たちがタバコを吸っていた。そこに教師がやってきて、「一本もらえるかな?」と、一緒に談笑を始めた。そんな教師がいたらどう思いますか?きっと、“ありえない”と思うにちがいありません。ところが、いたのです。そんな教師が。私でした。
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ある専門学校に勤めていたときの、昭和時代の話です。当時、その専門学校は、女子のみの2年課程(入学定員50名)でした。1年次が終わる2月に、3泊4日の研修旅行があり、校長とクラス担任が引率をしていました。校長が引率するのは、この行事への責任を負うお気持ちが強かったからだろうと思います。
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「一本もらえるかな?」事件は、研修旅行中の出来事でした。多分、何か事情があったと思いますが(忘れました)、その時の研修旅行は、クラス担任の私のみの引率でした。
私がある部屋(和室)の戸を開けると、数人(たしか4名くらい、顔も名前も忘れました)の学生がたばこを吸っていたのです(その部屋の戸を開けるに至った経緯も忘れました)。突然の私の出現に、学生たちはおびえるような目で私を凝視し、固まってしまいました。その状況の中で、私は、言ったのです。
「一本、もらえるかな?」
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研修旅行から帰ると、さっそく校長室に呼ばれました。校長から、真っ先に、学生たちの様子を聞かれました。私は、名前を挙げて、学生が部屋で喫煙していたことを告げました。
校長は、それを聞いて、私に尋ねました。
「で、阿部君は、どうしたんだい?」
私は、答えました。
「『一本、もらえるかな?』と言って、仲間に入りました」
校長は、一瞬言葉に詰まったようでした。が、すぐに苦笑いしながら言いました。
「まあ、阿部君がそうしたんじゃ、しかたないよな」
翻訳すると「阿部君のしたことは掟破りだけれど、阿部君がそれを良しとしてやったことであれば、しかたないよな」ということです。
校長の懐の深さを感じた出来事でした。
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なぜ、「一本、もらえるかな?」と言って学生の輪の中に入っていったのか(もちろん、タバコがほしかったわけではありません)、そして、その結果、何が起こったのか・・・次回、お話ししたいと思います。
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