【学長からのメッセージ2024.4】「朽ちる命と朽ちない命」
星美学園短期大学 学長 阿部健一
「朽ちる命と朽ちない命」
以前住んでいた家の庭に、朝顔を植えたことがあります。
つるを伸ばし、花を咲かせ、そして、枯れていきました。
翌年、同じ場所から芽が出て、同じように、花を咲かせました。
ここで問題です。
初めの年の朝顔と、次の年の朝顔は、同じ朝顔でしょうか?違う朝顔でしょうか?
初めの年の朝顔は、朽ちて、もうありません。
次の年の朝顔は、咲いています。
この2つの朝顔を、それぞれ「個」として捉えるなら、「違う」朝顔としてみるのが自然でしょう。
そして、その「個」の命は、「朽ちる」ように定められているのです。
ところで、いつの間にか、勝手に芽を出して、花を咲かせた、次の年の朝顔は、いったい何者でしょうか?
その出自を問うならば、言うまでもなく、前年の朝顔の種です。
その種は、前年の朝顔自身であり、かつ、次の年の朝顔自身でもあります。そういう意味で、初めの年の朝顔と次の年の朝顔は、「同じ」朝顔と言えるでしょう。
このように、「個」を超えた命は、「朽ちることのない」命です。
「朽ちる」命が終わっても、「朽ちない」命は、在り続けます。
それは、希望であり、喜びであると言えるでしょう。
「野辺の花 はしゃぎつつ摘む童らに 微笑み顔で 過ぎ逝くわが身」
義父の辞世の句です。
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