【学長からのメッセージ2025.1】「地上の知恵と上からの知恵」
星美学園短期大学 学長 阿部健一
「地上の知恵と上からの知恵」
エデンの園のアダムとエバは、神様から「善悪の木からは、決して食べてはならない。」と言いつけられますが、エバは、蛇にそそのかされて、その木の実を口にしてしまいます。
さらに、アダムもエバにそそのかされて、その実を食べてしまいます。
そのときから、人間は、自分の知恵によって(神様の知恵から離れて)生きていくことになります。神様と人間の間に亀裂を生じさせるという、蛇(サタン)の強烈な目論見は、見事成功したと言えるでしょう。
ところで、人間が木の実を食べて得た知恵とはどの程度のものでしょうか。
木の実を食べると「二人の目は開け」(創世記3章7節)、まず、自分たちが裸であることを知ります。そして、恥ずかしく思います。つまり、「見られている自分」を知る知恵を得たといえるでしょう。
次に、木の実を食べたことを神さまから詰問されたエバは、蛇にだまされたと、罪を蛇になすりつけます。そして、アダムは、エバのせいだとエバに罪をなすりつけます。つまり、罪を他人のせいにして自分を守る知恵を得たといえるでしょう。
さらに、アダムとエバの子、カインは、弟アベルを嫉妬心から殺してしまいます。つまり、自分と他人とを比較する知恵を得たといえるでしょう。そして、自分と他人を比較する知恵によって、嫉妬心・妬みが生み出され、自分が気に入らない相手を殺すという知恵を得たといえるでしょう。
このように、人間が神さまの言いつけに逆らって得た知恵というのは、「利己的な自己保身の知恵」であり、「自分を見せない(隠す)知恵」であり、「自分と他人を比較する知恵」であり、「気にくわない者を抹殺する知恵」であるといえるでしょう。
聖書は、「地上の知恵」と「上から出た知恵」について次のように語っています。
「しかし、あなたがたは、内心ねたみ深く利己的であるなら、自慢したり、真理に逆らってうそをついたりしてはなりません。そのような知恵は、上から出たものではなく、地上のもの、この世のもの、悪魔から出たものです。ねたみや利己心のあるところには、混乱やあらゆる悪い行いがあるからです。上から出た知恵は、何よりもまず、純真で、更に、温和で、優しく、従順なものです。憐れみと良い実に満ちています。偏見はなく、偽善的でもありません。義の実は、平和を実現する人たちによって、平和のうちに蒔かれるのです。」(ヤコブの手紙3章14~18節)
私たちは、幸いにも、イエス・キリストを通して、「上からの知恵」に触れることができます。
「イエスが行った奇跡の第一は、その言葉である」と、誰かが書いていましたが、私も、二十台に、初めてイエスの言葉に触れた時、「どう考えても、これは人間の言葉ではない」と直感したのを覚えています。今思うと、この直感(上からの知恵の言葉)が、私をキリスト信徒へと方向付けたのかもしれません・・・そんな気がしています。
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