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2011年4月28日 (木)

2011年度 第1回 図書館ミニ展示企画のお知らせ

タイトル : 金継(きんつぎ)・金繕い(きんつくろい)

企画担当者: 藤野 信行 (幼児保育学科 教授)

展示期間: 4月~6月

展示場所:図書館内展示ケース

Photo (藤野先生、談)

 私の趣味は陶芸です。自宅には小さな作業場があり、電動轆轤(ろくろ)や電気釜も

あります。15年前に群馬の陶芸家に弟子入りしたのですが、3年で埼玉へ転居したために

その後は自己流です。同時期に弟子入りした人の中にはプロになった方もおります。

 今回、ご紹介するのは金継(きんつぎ)です。歴史は古く室町後期に始まったとされます。

茶の世界については詳しくはありませんが、破損した貴重な茶器(茶碗)を再生する目的で

始められました。また、単に物を大切にするというだけでなく、金継することで、新たな美

(詫び・さびの世界)を創造したのです。中には、高名な茶碗をわざわざ割って、継ぐことで

(名物)になった茶碗もあるそうです。また、壊れた物を修理して使うというのは日本人らしい

ところです。欧米諸国でも修理はしますが、あくまで飾るために修理するのであり、食器として

再利用することはありません。文化の違いだと思います。

Photo_2 Photo_3

継ぎ方の基本ですが、まず破損した個所を本漆で固めます。その上から本物の金粉や

金箔で修理するのが一般的です。また、割れた破片が損失した場合は、木片で作ります。

いずれにしても手の込んだ作業が行われます。これを本継(ほんつぎ)といいます。

素人には難しいのです。しかし、簡単な方法もあります。接着剤とパテで補修した後に

金粉を塗ります。金粉も本物と偽物があります。今回展示の茶碗では、常滑焼きのもの

だけが本金です。残りは偽物の金で継ぎました。

 金継の展示については以前から決まっていたのですが、奇しくも今回の地震(2011年3月

11日・東北地方太平洋沖地震)で、所蔵の作家物が8点ほど割れました。

その一部が(常滑焼、京焼)で、何れも抹茶碗です。上記右の写真の品は私が以前に

飯茶碗で使っていたものです。骨董店で手にいれたもので70~80年前の唐津焼です。

元々ヒビが入っていたのですが、いよいよ使えなくなり、金継ぎしました。

また、素人が継いだのですから上手ではありません。

 記:幼児保育学科 教授 藤野信行