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2021年12月 1日 (水)

【図書館】展示企画2021年度第3回

タイトル: 家族のこころの病気を子どもに伝える絵本

期間  : 2021年12月~2022年3月

担当  : 星美学園短期大学専任講師 渡邉孝継

近年,「5人に1人は一生の間にうつ病や統合失調症といった精神疾患にかかる」と言われるようになりました。これは,平均すればどの家庭でもごく近い親族に1人かそれ以上が精神疾患に罹患しているということを意味しています。精神疾患は,今やとても身近なものです。そのため,保育現場でも精神疾患を抱える保護者はめずらしくありません。担任をしていらっしゃる先生であれば,担任しているクラスの子どもの中には,パパ・ママが精神疾患を抱えている子どもがいます。

保護者が精神疾患になったとき,子どもはどのように考えるでしょうか。実は多くの子どもは,「パパ・ママが変になったのは,ボク・ワタシが悪い子だから」とひそかに自分を責めます。子どもは心配ごとを自分に結びつけやすいのです。「ボク・ワタシの努力が足りないからパパ・ママが変になっているんだ」と感じると,子どもは、家ではパパ・ママの機嫌を伺い,神経を擦り減らしながら波風が立たないように過ごします。これは,子どもにとっては強いストレスとなります。そうすると,幼稚園・保育所(園)でリラックスするようになります。結果として,幼稚園・保育所(園)で我を出し行動が不安定になってしまう子どももいれば,とても大人しくなってしまう子どももいます。

子どもが自分のことを責めることがないよう,子どもに心の病気のことをわかりやすく伝える必要があります。そのためには,「アナタのせいじゃないんだよ」と伝えてくれる人が必要です。今回紹介する絵本には,このようなときの子どもの心理状態と子どもとの関わり方がわかりやすく描かれています。

パパとママが精神疾患を抱えていて,子どもが辛い思いをしている。そんなときに,皆さんならどうするかを考える機会になればいいなと思います。

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参考文献

①プルスアルハ・細尾ちあき・北野陽子(2012).ボクのせいかも...─お母さんがうつ病になったの─ ゆまに書房

②プルスアルハ・細尾ちあき・北野陽子(2013).お母さんどうしちゃったの?─統合失調症になったの・前編─ ゆまに書房

③プルスアルハ・細尾ちあき・北野陽子(2013).お母さんは静養中 ─統合失調症になったの・後編─ ゆまに書房

④プルスアルハ・細尾ちあき・北野陽子(2014).ボクのことわすれちゃったの?─お父さんはアルコール依存症─ ゆまに書房