【学長からのメッセージ2023.6】“6月”に、ちなんで
星美学園短期大学 学長 阿部健一
“6月”といえば、あじさいです。
あじさいの花は、そぼ降る雨の中、パステル色を楽しませてくれます。そして、あじさいの葉も、また、濃くも薄くもない丁度良い緑で、その上を、虹色の光を薄く残しながらカタツムリが静々と歩んでいきます・・・という情景を思い浮かべることはできるのですが・・・、実は、この年になるまで、あじさいの葉っぱの上のカタツムリというものを見たことがないのです。
3歳の頃私が引っ越した家の裏手が竹藪でした。雨上がりに、カタツムリが笹の葉の上を静々と歩いている姿をいつも見ていました。
私が、幼稚園の年長組のある日、先生が子どもたちに質問しました。
「カタツムリは、何の葉っぱの上にいますか?わかる人・・」
カタツムリを普段見ている子どもたちですから、すぐさま一斉に手を挙げました。
「はい、あべくん」と、先生は、私を指名しました。
私は、自信満々に、元気よく答えました。
「笹の葉っぱの上です!」
「違います!」
「わかる人・・・」、先生は、もう一度、子どもたちに問いかけました。
今度は、誰も、手を挙げません。“先生にとっての正答”を答えなければいけないモードに切り替わってしまったからです。
しかたなく、先生は自分で答えました。
「あじさいの葉っぱです」
先生は、折り紙であじさいを折り、緑の葉っぱを描いて、その上に折り紙で作ったカタツムリを貼るという造形活動を計画していたのでした(今考えると)。そして、その活動の導入として「カタツムリは、何の葉っぱの上にいますか?わかる人・・」という問いかけを考えていたでしょう。先生は、どうしても、「あじさいの葉っぱです」という答えがほしかったのだと思います(今なら、事情は、わかります)。
しかし、悲しいことに、幼児教育には、自分の「指導計画」よりも、もっと大事なものがあることをご存じなかったようです。
先生から頭ごなしに全否定されて固まってしまった“けんちゃん”の姿が見えます。「大丈夫、心配しないで、けんちゃんは、間違ってないんだからね」・・・私の心は“けんちゃん”をぎゅっと抱きしめるのです。
【関連記事】 学長が語る 障がい児保育 第1回~第8回(最終回)
星美学園短期大学 【ブログ】学長からのメッセージ
幼稚園教諭・保育士・特別支援学校教諭の取得を目指す
#学校見学
#オープンキャンパス
@seibigakuen
@seibi‗college
@SEIBI_college