【学長からのメッセージ2023.7】CDの世界とレコードの世界
星美学園短期大学 学長 阿部健一
初めてCD音源を聴いたとき、音のキレの良さ、細部の音のクリアさで、もはやレコードの時代は終わったなと確信しました。最近、レコードには、CDにはない「臨場感」や「音圧」を感じるとかで、レコードブームが再燃しているようですが、まったく、理解できませんでした。つい先日までは・・・。
数年前、A氏が、不要になったスピーカーをプレゼントしてくれました。縦1メートルのスピーカーボックスに、4つのスピーカー(うち1つは、A氏が自作したもの)が内蔵されています。(幸い幅が20センチなのでホッとしました。)
その出来事を知ったB氏が、自作のスピーカーをさらに追加し、ミニコンポの代わりに小型パワーアンプとCDプレーヤーを設置してくれました。こうして、思いがけず、私の長いミニコンポ時代は終焉の時を迎え、見た目、なにやらオーディオ好きのような佇まいになってしまいました。
先日、我が家にやって来た長男が、C氏からいただいてそのまま使わずに仕舞い込まれていたポータブルレコードプレーヤーを見つけ出し、新オーディオ装置に接続して、レコードを掛けました。ピアノの音が鳴りだした瞬間、驚きました。そこに「人」が居て、弾いている感じなのです。まさに、CDにはない「臨場感」と言えるかもしれません。私は、CDとレコードの違いを確認したくなりました。
そこで、レコード版とCD版の両方揃っている「カルメン・マキ&OZ」で聴き比べることにしました。このレコードは、私が20代後半に購入し、その後CD版も購入して、(飽きっぽい私が)折に触れて聴き続けている、何とも不思議なアルバムです。その中の、「Image Song」で、聴き比べることにしました。
まずCD版。キレの良い、細部までクリアな音で、期待通りです。次にレコード版。イントロからヴォーカルに入った瞬間、仰天してしまいました。別次元の音が現れたのです。まさに、「臨場感」と「音圧」の違いといってよいと思います。「今、鳥が翔びたつ日暮れた野原に」のところでは、左上腕部に鳥肌が立ちました。
この出来事によって、「レコードの時代は終わったな」という私の確信は、完全に崩れてしまいました。
レコードがCDに勝っているということではなく、両者は別の世界を現しているのだと思います。今回、幸いにも、レコードの世界の素晴らしさを発見することができたということです。
この発見は、新オーディオ装置のおかげなのでしょうか。それを確かめるためには、お蔵入りしたミニコンポでこのレコード盤を聴いてみる必要がありますが、さすがにそこまでの情熱は、私には、ありませんでした。
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