【学長からのメッセージ2022.2】雪の日の思い出
星美学園短期大学 学長 阿部健一
何年か前、私が住んでいる熊谷に大雪が降りました。
夜、外に出てみると、1台の軽トラックが、雪にタイヤを取られて立ち往生しています。50歳前後の男性が、雪の降りしきる中、必死に車を押して、脱出しようとしています。
私は、男性に軽くアクセルを踏んでもらいながら、後ろから押してみることにしました。無事、脱出できたので、運転席のところに行くと、助手席に、娘と思われる高校生がスマホに熱中していました。
私は、その風景に、とても違和感を覚えてしまいました。
「父親があんなに大変な思いをしていたのに、なぜこの子は、車の外に出て、父親を助けようとしなかったのだろう。この子は、父親が何とかしてくれるはずと、完全に父親を信頼し安心しきっていたのだろうか。“子ども”なら、それもわかる。父親は、娘に、『心配ないから、ここで待っていなさい』と言ったのだろうか。これも、“子ども”なら、わかる。もしかして、この助手席の高校生は、高校生の姿をした“子ども”なのか・・・」
“子育ての不安”を荷台に乗せたまま、軽トラックは、ゆっくりと立ち去って行ったのでした。
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雪が降ると外に出たがるのは、父のDNAを受けついでいるからです。父は、認知症が進んでも、雪が降ると、特別な、嬉しそうな表情を浮かべていました。
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