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2013年4月 8日 (月)

図書館展示企画 2013年度 第1回

タイトル: ヴェネツィアの工芸品

期 間: 2013年4月~6月

担 当: 人間文化学科 准教授 武田 好

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 その昔、海洋都市国家として発展し、地中海を

中心にオリエント、アラブの諸地域とヨーロッパの

文物の交易によって富み栄えたヴェネツィアは、

今も魅力あふれる街であり続けています。

 ガラス、レース、仮面などの工芸品は観光客の

土産品としてその歴史の面影を残しています。

 今回の展示では、特にガラスの小物、レースを

ご紹介しましょう。 

  ヴェネツィアのガラスの歴史は、文書としての

記録は10世紀末にさかのぼります。

 13~14世紀にガラス産業は成長し、ガラス

職人組合が作られました。ヴェネツィアのガラス

製品はヨーロッパ各地に輸出され、高級工芸品

としての地位を得ます。重要な産業であるガラス

製造の技術を守るために、ガラス職人たちは

ヴェネツィア本島沖合にあるムラーノ島に

移住させられました。

 今日、ムラーノ島にガラス工房が集まって

いるのはそのためです。15~16世紀に

ヴェネツィア・ガラスは黄金時代を迎え、

ヨーロッパの貴族たちに珍重されました。

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 upwardright ヴェネツィア・ガラスを用いたアクセサリー。

 ビーズのネックレス・イヤリングや指輪、

 ブレスレット、ムリーネ(棒状の色ガラスを

 切断し、型に並べてさまざまな模様を作ります)

 のペンダントトップ、ガラスペン、オブジェなど。

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 もうひとつ、ヴェネツィアで知られるのは

レースです。レースの歴史も古く16世紀には

ヨーロッパでベルギーと肩を並べるレース生産

国となりました。

 ヴェネツィア・レースは17世紀にはガラス製品

と同様にヨーロッパ中を席捲します。王侯貴族

たちがレースを身にまとい、その豪華さを競い

合った時代には、ヴェネツィア・レースの技法が

各地域に影響を与えました。また、貴婦人の

趣味としても好まれました。西洋絵画を見る

ときは、ぜひ肖像画に細密に描かれたレースに

注目してください。現在もなお、ヴェネツィア

本島沖合にある漁師の島ブラーノ島で、

女性たちがその技術を守り伝えています。

 ブラーノ島のレース博物館では、その繊細、

かつ華やかで優美なレースの作品を見学

することができます。

 特に、すべてレースで作られたウェディング

ドレスは、一針ひと針心をこめて刺した女性

の姿を思い起こさせます。

 そのウェディングドレスは、日本でも展示され、

ヴェネツィア・レースの素晴らしさが技法とともに

紹介されました。

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 upwardright ニードル・レースの技法で

 何時間もかけて出来上がった蝶と花弁、

 19世紀末のアンティークレースの飾り。