タイトル: 古くて新しい伝承あそび 2
期間:2018年12月~3月
担当:星美学園短期大学准教授 打越 みゆき
保育の現場で日本の伝承あそびが取り入れられるようになり、少しずつ子どもたちが伝承あそびをするようになってきました。本学で私が担当している専攻科の授業「幼児教育研究 乳幼児のあそびと健康教育」でも、けん玉やあやとり、コマ回しやお手玉をしています。そんなにきつくなさそうに見えますが、どのあそびも集中力が必要ですし、けん玉やお手玉では意外にも腕の力が必要で、「腕が痛い~」と叫びながら練習する学生もたくさん。その甲斐あって「児童館での実習で役立った!!」と喜んで報告してくれる学生もいます。けん玉などはアメリカをはじめ、諸外国でも盛んに行われており、世界大会が開かれ、たくさんの技が磨かれています。なかにはプロのけん玉師としてスポンサーが付くほどの活躍をしている人もいるそうです。
平成29年に告示された「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」(以下、3法令)では、身近な環境との関わりに関する領域「環境」において、「日常生活の中で、我が国や地域社会における様々な文化や伝統に親しむ」ことが明文化され、取り扱われることになりました。伝承あそびは、子どもたちにとって最も身近で親しみやすい日本の伝統といえるでしょう。「まずは、先生があそべるように」と、前出の授業の他に、「幼児体育」の授業で「花いちもんめ」や「かごめかごめ」「あぶくたったにえたった」「とおりゃんせ」「おしくらまんじゅう」など、たくさんのあそびを取り入れています。「知っている人?」と質問すると手を挙げる人はクラスで2,3人。授業であそんでみて、「あっ、これ、子どもに教えてあげたい!」と思ってもらえれば私も嬉しいです。
参考文献
『子どもに伝えたい伝承あそび』 小川 清実著 2001年6月 萌文書林
『独楽』 安藤 正樹著 2003年4月 文渓堂
『お手玉』 大西 伝一郎著 1997年9月 文渓堂
幼児教育総合研究(卒業研究)に取りかかっている専攻科幼児保育専攻科生のみなさん、星美学園短期大学図書館では、毎年、『卒業研究参考資料貸出』を行っていますが、ご存じですか。
貸出期間 9/18~12/12
貸出日数 4週間
冊数 通常通り
資料の検索・参考文献の探し方などのご質問やご相談にも応じています。
資料が見つからない、うまく収集できないときは、ご相談ください。
今回の特集コーナーのテーマ
「かこさとしさんを偲んで」
絵本作家のかこさとしさんが5月2日、92歳で亡くなった。作品は『からすのパンやさん』を代表とする「かこさとしおはなしのほん」シリーズ、『伝承遊び考』『うつくしい絵』『とこちゃんはどこ』など。2008年菊池寛賞、2009年日本化学会より特別功労賞を受賞。92歳まで現役で作家活動を続けた。
タイトル:動的描画システムによる子どもへの心理的接近
期間:2018年8月~11月
担当:星美学園短期大学専任講師 太田研
皆さんは、子どもを理解する際、子どもの何に注目しますか?子どもの語り、振る舞い、表情、快活さなど、多様な情報から子どもへの理解を深めるのではないでしょうか。これらの項目に加えて、現在、学際的に注目されている項目は、描画です。なかでも、動的描画システムは、子どもが捉える他者との関係性に接近できる方法として、先行研究が増加しています。
動的描画システムは、Burns & Kaufman(1970)やProut & Phillips(1974)によって開発された描画投影法です。投影とは、描画者が抱く家族や友人、先生、自分自身へのイメージが映し出されることを意味します。動的描画システムは、動的家族画(Kinetic Family Drawing)と動的学校画(Kinetic School Drawing)の2つの方法から成ります。実施方法は至って簡単です。子どもに白紙と鉛筆を渡し、「家族の人たちが(あるいは、学校で)何かしているところを描いてください。あなたを含めて、家族の人たちを(友人、先生を)描くようにしてください。棒状の人間ではなく、人物全体を描いてください。何らかの行為や動作をしているところを描いてください。」と伝えます。
描かれた家族画や学校画は、(1)人物間の行為、(2)人物像の特徴、(3)人物の位置や人物間の距離、障壁、(4)描画スタイル、(5)描かれた家財具や太陽等のシンボル、という5つの観点から分析します。幼児の場合、自身の心の状態を観察する力、言葉で表現する力は、まだ十分に発達しているとは言えません。描画は幼児にとって、言葉で表すことのできないメッセージを表現する手段です。動的描画システムは、近年、虐待やいじめの早期発見のために活用されています。子どもの描画を観るための知識・技能の向上に役立つ専門書をご紹介します。
参考文献
『描画心理学双書 ②子どもの家族画診断』R. C. バアンズ/S. H. カウフマン著 1998年8月 黎明書房
『描画心理学双書⑧描画による診断と治療』ジェラルドD.オスター/パトリシア・ゴウルド著 2005年9月 黎明書店
『教育臨床アセスメントとしての同的学校画』田中志帆著 2012年1月 風間書房
『学校画・家族画ハンドブック』ハウァード・M・ノフ/H・トンプソン・プラウト著 2000年9月 金剛出版